断熱材の熱伝導率と素材
熱(エネルギー)の伝搬は伝導・対流・輻射の3つの要素の特性によって決まり、伝導に関しては材料自体に固有の熱抵抗値があり、断熱材として使うのであれば使用温度に適した範囲での熱抵抗が大きい素材を用いるのが理想で、断熱材の殆どは熱抵抗値が高い空気層を内部に持たせる構造を採っています。
熱抵抗値が極めて大きく比較基準として良く用いられる静止空気ですが、実際には対流しない空気(気体)はあり得ず断熱材には対流を妨げる構造や充填密度が求められます。
更に200℃を超えるような高温域では固体伝熱と比較して放射伝熱の要素が大きくなり、高温用断熱材には赤外線の不透過剤(酸化チタン、酸化ジルコニウム)を素材としたり、充填剤として加えることで高温領域での熱伝導率上昇を抑制することもあります。
主材料に微細孔を持つヒュームドシリカやエアロゲル(ナノレベル多孔体)を使うことで固体同士の接触面積を減らし、微細孔の大きさは平均0.1μm以下で空気の自由運動行程よりも小さいために、空気の分子運動を規制するために熱伝達を大きく押さえることができます。
これらの素材を利用することで従来の断熱材と比較して熱伝導率を1/2〜1/5に下げることが可能になり、省エネルギーや産業設備の小型化が可能になりました。
低熱伝導率素材を使った断熱材
- WACAR
主成分であるヒュームドシリカに赤外線の不透過材を添加することで、極低温から超高温(1000℃)までの熱伝導率を低減させた機能最優先の製品。
強度が低く非常に脆いために施工面では難しいものがあり、現場加工は単純な切断作業以外は余り期待できません。
- パイロブランケット
グラスウールマットを基材にエアロゲル(ナノレベル多孔体)を充填させることで施工性の良さを併せ持った製品。
WACARのように赤外線の不透過材を添加していないために、高温領域では放射伝熱によって熱伝導率が増加していますが、従来の断熱材と比較すれば圧倒的に優れた断熱性を有しています。
安全性
WACARやパイロブランケットは人工的に製造された非晶質シリカとガラス繊維を主成分とした断熱材であり、アスベストや結晶性シリカなどの発癌物質は全く含まれておりません。
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