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セラミックファイバーの概要

セラミックファイバーは高純度のアルミナ・シリカを主成分とした人造無機繊維であり、アルミナ含有量が40〜60%程度の原料を溶融繊維化させた非晶質リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)と、シリカ・カルシア・マグネシア原料を溶融繊維化した生体溶解性のアルカリアースシリケートウール(BSF)、アルミナ含有量が70%以上の原料をゾルゲル法や高温焼成により結晶化させた、より耐熱温度の高い多結晶ムライト質アルミナファイバー(ACF)に大別されます。

アルカリアースシリケートウール(BSF)は生体溶解性セラミックファイバーとも呼ばれ、高純度の二酸化ケイ素・酸化カルシウム・酸化マグネシウムを電機溶融し繊維化した人造鉱物繊維で、吸引等で人体に摂取されたとしても体内の水分によって分解・排出される特性があり、環境問題に厳しいヨーロッパでもIARC(国際癌研究機関)、EU指令(Directive 97/69/EC)、ドイツ規制(TRGS 905)で発癌性分類の適用から除外されており、安全性が確保された高温用の断熱材料です。

非晶質リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)は平成27年11月01日から特定化学物質予防規則(特化則)の第2物質類に追加され、アスベスト並みの厳しい取扱規制を受けることになり一部規格を除いて生産中止になっており生体溶解性繊維(BSF)が有力な後継代替材料とされています。


特徴・比較
  1. グラスウールやロックウールと比較して耐熱性が高い。(1100℃〜1800℃)
  2. 無機繊維の集合体ですので非常に軽く、柔軟性・弾力性に優れています。
  3. 熱伝導率が耐火レンガの1/10、断熱レンガの1/2と小さいために断熱効果が高い。
  4. 軽量なために蓄熱量が小さく、炉の昇温や降温に要する時間を短縮できます。
  5. 純度の高いアルミナ、シリカ、マグネシアが主成分なため、強アルカリ・フッ化水素酸・リン酸以外の化学薬品に優れた抵抗力を発揮します。
  6. アルカリアースシリケートウール(BSF)と多結晶ムライト質アルミナファイバー(ACF)は特定化学物質予防規則の分類(慢性疾患の恐れ)から除外されており安全性が確認されています。

耐熱温度・最高使用温度

無機繊維であるセラミックファイバーは、結晶質である1600グレード以上のものを除いて非晶質であるために加熱初期の段階では線収縮率が高く、以降は徐々に収縮が進行します。

セラミックファイバー製品に表示されている耐熱温度(最高使用温度)は、1気圧・酸化雰囲気の電気炉内で24時間連続加熱に於ける加熱収縮率が2〜4%となる温度を耐熱温度と定義づけています。
これは短期間での耐熱限界の目安となるものであり、長時間高温に曝される場合は5%以上収縮する場合があります。また実際の常用使用温度は温度条件以外の要因にもよって異なります。


製品種類・規制分類
  1. バルクファイバー:一般的なセラミックファイバー製品の素材となる原綿
    • BSF, ACFは規制対象ではありません。(RCFは特化則規制対象)
  2. ブランケット:バルクファイバーを積層しながらニードル加工をしたフェルト状の断熱材
    • BSF, ACFは規制対象ではありません。(RCFは特化則規制対象)
  3. ペーパー:BSF, ACF原綿に少量の有機結合材を加えて抄造した耐熱・断熱紙
    • 規制対象ではありません。
  4. ミルボード:BSF原綿に少量の無機粉末や有機結合材を加えて抄造した高密度の耐熱シート
    • 規制対象ではありません。
  5. ボード・成型品:BSF, ACF原綿に無機フィラーと結合材を添加して成型した断熱材
    • BSF, ACFは規制対象ではありません。(RCFは条件付きで規制対象外)
  6. シーラー: RCF原綿に無機・有機結合材を添加した湿潤状態の不定形断熱材
    • 規制対象ではありません。(RCFは条件付きで規制対象外)
  7. ウェットフェルト: ブランケットに無機結合材を含浸させ湿潤状態で密封包装された断熱材
    • 条件付きで規制対象ではありません。
5,6,7 の対象外条件
  • 購入状態のまま使用し、施行時に切断・穴開けなどの繊維が飛散する作業を伴わない。
  • 指定形状に加工された状態で使用し、切断・穴開けなどの繊維を飛散させる作業を伴わない。
  • 湿潤状態で施行し、乾燥・硬化後にも切断・穴開けなどの繊維を飛散させる作業を伴わない。

安全性・法規制
  1. 労働安全衛生法・特定化学物質予防規則
    一般にセラミックファイバーと呼称されている人造鉱物繊維は非晶質と多結晶質に分類され、最もよく使われているのは非晶質のリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)です。
    日本国内ではリフラクトリーセラミックファイバーは慢性疾患(発癌性)の恐れがある物質としての規制は受けてきませんでしたが、平成27年11月01日から労働安全衛生法に基づく表示対象物、特定化学物質予防規則(特化則)の一部改正により第2物質類に追加され、取り扱い方法の規制を受ける事が決定しました。
  2. 規制対象物質
    規制対象になるのは 非晶質のリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)のみです。他の人造鉱物繊維である「結晶質繊維のアルミナ・ムライトファイバー」「生体溶解性のアルカリアースシリケートウール」「ロックウール」「グラスウール」「ガラス長繊維」は対象外になります。
    ※但しRCFを含有していても一部製品(結合材で成型されたもの・湿潤状態で供給されるもの)は条件付きで対象外となります。
  3. 改正内容
    1. RCF及びRCFを1%以上含有する製品については、譲渡・提供時の容器・包装への名称等の表示が必要になります。
    2. RCFを特定化学物質予防規則(特化則)の第2類物質に追加することにより、新たに作業主任者の選任作業環境測定の実施及び特殊健康診断(2回/年)が必要となります。
    上記のうち猶予が設けられているものは下記になります。
    • 作業主任者の選任に関しては、平成29年10月31日まで猶予
    • 作業環境測定の実施に関しては、平成28年10月31日まで猶予
    • 容器・包装への表示に関しては、平成27年11月01日時点で既に存在するものに関しては、平成28年04月30日まで猶予

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